蕁麻疹(じんましん)
蕁麻疹とは皮膚の一部が赤くくっきりと盛り上がった状態(膨疹)です。蕁麻疹が生じた際は痛みを伴うことが多いです。盛り上がった皮疹は、数時間の程度で自然と消失しますが、半日~1日程度続く場合もあります。膨疹は1~2㎜から数㎝程度から手足全体を覆うものまで様々です。また、それぞれの膨疹が融合し体表の殆どが蕁麻疹で覆われる場合もあります。形は、円形・楕円形・線状、地図状など様々なものができますが、特に意味はありません。
蕁麻疹は大きく2つの種類があり、全身に急激なかゆみを伴う急性蕁麻疹と、身体の一部に蕁麻疹が慢性的にでる慢性蕁麻疹です。
急性蕁麻疹
急性蕁麻疹は発症原因が明確に分かることが多く、主なものとしては食事、お薬、感染症などが挙げられます。
慢性蕁麻疹
慢性蕁麻疹は急性蕁麻疹と違って明確な原因はわかっていませんが、ストレスや体調不良、内科疾患などが原因だと考えられています。内科疾患の場合は血液検査を行い、腎機能、肝機能、血球の状態を調べる必要があります。
蕁麻疹の治療
内服薬・外用薬
蕁麻疹の治療は薬物療法となり、症状に合わせて内服薬の種類や量を調整します。症状が強い場合は抗ヒスタミン薬を処方し、皮疹部を掻きむしってしまっている場合はステロイド外用薬で治療を行います。
多汗症
多汗症とは特に運動したわけでも気温が暑い場合でもないにもかかわらず、日常生活に支障をきたすほどの大量の汗が出る疾患です。
多汗症の症状
多汗症は症状によって大きく2種類に分けられており、全身の汗が増加する「漸新世多汗症」と身体の一部のみに汗が増加する「局所性多汗症」があります。局所性多汗症はさらに部位によって以下のように症状も違ってきます。
頭部・顔面多汗症
頭部、顔面の多汗症は数時間から1日中発汗し、2~10年以上の長期間にわたって症状が続きます。男性によく見られるもので、熱い食べ物や飲み物、ストレスが悪化の原因となります。
掌蹠多汗症
掌蹠(しょうせき)は手のひらと足の裏を指し、精神的な緊張状態の際に大量に発汗し、重症化すると手足が絶えず湿って冷たい状態になります。この症状は幼少時期や思春期によく見られ、時間帯や時期によっても変わり、日中や夏の暑い時期の方が発汗しやすくなります。
腋窩多汗症
腋窩多汗症になると、ストレスや緊張した時などに、左右対称に脇の下に大量の汗が出るようになります。また、気候や運動なども悪化の原因となります。
多汗症の治療
内服薬(プロ・バンサイン®)
- 発汗を促すアセチルコリンの放出を抑制する抗コリン作用が働きます。
- 副作用は比較的少なく安全性が高いものとなっています。
- 便秘や口が渇くなどの副作用が起こることもあります。
- 全身のどの部位の多汗症に対しても効果があります。
塩化アルミニウム外用剤
- 汗がでる管を閉塞し、発汗を抑制します。
- 効果があらわれるまで少し時間がかかるので、毎日外用して頂き、効果が出始めてからは症状に応じた頻度で使用します。
- 効果が出始めても途中で中断せず、医師の指示に従ってください。
- 主な副作用としては長期使用することによって接触皮膚炎(かぶれ)が起こり、かゆみを伴います。
ボトックス注射
- 抗コリン作用が働き、汗を減少させます。
- 手足、腋窩の多汗症にのみ効果を発揮します。
- 手のひらに注射すると一時的に筋力低下が起こり、物が握りにくくなったりすることがあります。
- 効果の持続期間は個人差があり、おおよそ3~6か月程度です。
当院では以下の治療を行っております。
- 内服薬(プロ・バンサイン®)…保険適応
- 外用薬(エクロックⓇ、ラピフォートⓇワイプ、アポハイドローションⓇ)…保険適応
- その他、デオドラント化粧品も取り扱っております。
熱傷 (やけど)
やけどは医学的には熱傷(ねっしょう)と呼ばれており、熱や化学薬品などが原因で皮膚が傷ついた状態のことを言います。症状が軽い場合は冷やすだけで充分ですが、重症化している場合は水ぶくれや瘢痕(傷あと)が残ってしまうことがあるので、すぐに受診するようにしましょう。
やけどの症状
どれくらいの深さまでやけどをしたかによって4つに分類わけされており、深さは「温度✕時間」で決まります。また、広い範囲にやけどを負ってしまった場合はショック状態になる場合があるため、非常に危険です。
Ⅰ度熱傷
表皮の部分までのやけどで、主な症状としてはむくみや赤み、ヒリヒリした痛みを伴います。数日で自然に治りますが、一時的に色素沈着が起こることがあります。
浅達性Ⅱ度熱傷
表皮の下にある真皮(しんぴ)の浅い部分までやけどした状態で、赤みや水ぶくれ、痛みを伴います。傷は1~2週間で治り、一時的に色素沈着は生じるものの瘢痕は残りません。
深達性Ⅱ度熱傷
真皮の深い部分までのやけどで、浅いやけどに比べて痛みは軽くなります。
しかし、紫や白色の水ぶくれができ、治るまでに3~4週間かかります。患部は瘢痕になることも多いです。
Ⅲ度熱傷
真皮の下の部分まで達した状態で、痛みは感じなくなり、患部は黒色や茶色、白色となります。治るまでに1~3ヶ月と長時間かかり、瘢痕も残ってしまいます。
やけどの治療
初期治療
やけどをしたときはまず患部を流水で15~30分ほど冷やすようにしてください。その際、脱がせにくい衣類を着用している場合は、衣類の上から冷やして頂き、その後にゆっくり脱がせてあげましょう。子どもやご年配の方は低体温になることもあるので冷やし過ぎには注意が必要です。
受診後の治療
Ⅰ度熱傷、浅達性Ⅱ度熱傷までの浅いやけどをおった時に赤みが強い場合はステロイド外用薬を使用いたします。
Ⅰ度熱傷は赤みが引いたら治療は止めてもらって大丈夫ですが、浅達性Ⅱ度熱傷の場合は皮むけや水ぶくれが残るため、赤みがある程度引いた時点で、傷の状態によってプロスタンディン軟膏、ゲンタシン軟膏、アクトシン軟膏などを使用します。
深達性Ⅱ度熱傷、Ⅲ度熱傷など深いやけどの場合は、ゲーベンクリームといった抗菌作用に優れたクリームを使用し、必要な場合には植皮などの外科的治療などを行います。
広い範囲にやけどをおった場合はショック状態となり、処置が送れると命に関わることがあります。すぐに入院し、点滴治療なども行う必要があります。
色素沈着、瘢痕(傷あと)の治療
浅達性Ⅱ度熱傷といった浅いやけどでは一時的に色素沈着が起こりますが、徐々に薄くなっていきます。しかし、紫外線などに当たると濃くなってしまうので、外出時は日焼け止めを使用するようにしましょう。
一方、深いやけどの場合は色素沈着など瘢痕が残ってしまうことがあるので、症状に応じてステロイド剤の注射や外用、リザベン内服、ヒルドイド外用、テープによる圧迫、手術療法などを行う必要があります。